富山県の山城・城跡

若栗城(わかぐりじょう)

富山県黒部市若栗(地図

 元は方形の館跡であったのだろうが、現在はコの字形に土塁を残している。しかし土塁の高さは5m程度もあり、当時の規模がうかがえる。見所は西側の張り出しを持つ虎口であろう。
 案内板には「城主不悪凡斎右京輔の息女の勇壮な奮闘ぶりの悲話」とありますが、それについては以下に引用します。

※女のさむらい大将(『黒部市誌』よりそのまま引用)
 この城主は不悪凡斎右京輔といい、その妻は女のさむらい大将であった。
 ある年、越後の上杉謙信がこの城を攻め立てたがなかなか落ちない。「矢がなくなるまで攻めろ」と言って矢を放つと、その矢が打ち返されてくる。どうしてなのかとよく見ると、女のさむらい大将が先頭に立って、城の土居の竹でつくった筒の中へ、飛んでくる矢を通した瞬間、すばやく矢を横にして、矢をとらえては打ち返すのだった。
 これを知った上杉勢は、管矢(矢が竹の管の中に入ったまま飛んでくる)をたくさんつくって攻め立てた。
 城のさむらいたちも総がかりで矢を取りに出たところ、管の中を抜けた矢がささって討ち死にした。女のさむらい大将も無念の死を遂げたので、これを見た城主は、戦いはこれまでとあきらめ切腹したと伝えている。

(撮影2011年11月)


現在の若栗城跡(Google マップ

若栗城全景
東側から見た若栗城全景

若栗城石碑
西側にある石碑

若栗城案内板
若栗城案内板

若栗城虎口+
西側に虎口が明確に残っています
Google ビュー

若栗城土塁張り出し
虎口に対して張り出し土塁から横矢を掛けています

若栗城虎口
城内部から見た虎口

若栗城
土塁上から見た城内

若栗城
土塁上

若栗城土塁
北側の土塁。周囲は堀で囲まれていたのでしょう。

若栗城土塁
南側の土塁。高さは5m程度でしょうか。
平地にこれだけの土塁を残すケースは、県内では珍しいですね。

若栗城航空写真
航空写真 (昭和50年・提供:国土画像情報 国土交通省)

若栗城 航空写真
若栗城 航空写真(昭和22年(1947))
この頃はまだ土塁を多く残していたようです。

若栗城城郭図
若栗城城郭図(『富山県中世城館遺跡総合調査報告書』より引用)